mommapapaの父の言の葉

日本語と暮らしと子育て雑記

セミの羽化と緊急事態

 11日の夜は初めての天体望遠鏡の野外での使用感と、あわよくばペルセウス座流星群が見れはしないかとの期待から、チビと二人で夜の石神井公園に出かけました。

石神井公園は、都心では星空がきれいに眺められると評価の高い場所のひとつです。

あいにく雲が広がる夜空のため、天体観測には至りませんでしたが、代わりに虫たちの生命の営みを垣間見ることができました。

夏の夜の石神井公園では、セミやカブトムシなどの羽化があちこちで見られることに気が付きました。

すべての生物にとって、誕生の瞬間は最も命の危険に晒される瞬間。虫たちの羽化も同じです。

長い土の生活からせっかく地上に上がってきた瞬間を、鳥や他の生き物に狙われないよう、深夜であったり、木陰であったり、虫たちはそれぞれの工夫で天敵から身を守りながら、密やかに自らの体を変化させるのです。

メタモルフォーゼ

ふっとそんな単語が頭に浮かびます。セミの幼虫が殻を破って羽化する変態を、そう呼ぶのが正しいのか分かりません。ただ、確か学生の頃に、定食屋かどこかで読んだマンガの中に、そのような言葉が使われていたことを思い出します。コクピットの中で、青白い炎を放ちながら、自らを静かに覚醒させてゆくのです。

そして、羽化の英語を求めてハッとしました。

emergence:羽化

その単語を当てはめた古代人の、その発想が、何千年もの時を経た、昨晩の石神井公園で感じたその感覚と全く同じだったからです。

ああ、なるほど。

私はきっと、羽化の英訳を一生忘れないでしょう。

なぜならば、羽化する瞬間ほど、生命にとって生きるために必要であり、かつ最も危険な「emergency:緊急事態」はないからです。

emerge:現れる

その夜、私はこの語源が本来意味する感覚を、この身に感じたのでした。

 

昨夜の夜の石神井公園には、タモを片手に訪れる家族の姿も散見されました。

目の前をカブトムシがブンブン飛ぶ姿を見ると、なるほどそういうことなのか、と納得しました。

水辺の夜の公園は少し薄気味悪い感じがしますが、お盆休みともなれば、多くの家族が夏休みの課題解決のために訪れるのかもしれません。

セミやカブトムシにとっては、正に非常事態となる夏のひと時に違いありません。

ではまた次回。


小さな家の植物と虫たちの営み